保育の仕事をしていると、「がんばっても給料は変わらない」と感じることがあるかもしれません。
でも、研修を受けることが給料につながるしくみが、国の制度としてあります。それが保育士等キャリアアップ研修です。
知らないまま受けていない方も多いので、整理してみます。
キャリアアップ研修とは
保育現場のリーダー的な職員を育てるための研修です。国がガイドラインを定めていて、都道府県、または都道府県が指定した研修実施機関が実施します。
ポイントは、この研修を修了した人の数が、園に入るお金の計算に使われていることです。つまり、受けることが給料につながります。くわしくは後半で書きます。
研修は3種類あります

①専門分野別研修(6つの分野)
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー対応
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
この中から、自分が深めたい分野を選びます。
②マネジメント研修
分野別のリーダーとしての経験があり、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う方が対象です。
③保育実践研修
ここは、ぜひ知っておいてほしいところです。
対象は、ガイドラインにこう書かれています。
保育所等の保育現場における実習経験の少ない者(保育士試験合格者等)又は長期間、保育所等の保育現場で保育を行っていない者(潜在保育士等)
つまり、保育士試験で資格を取った方や、長く現場を離れていた方のための研修です。
「ブランクがあるから不安」という方に向けた研修が、キャリアアップ研修の中にちゃんと用意されています。
1分野15時間。園内研修で短縮できます
研修時間は、1分野15時間以上と決められています。
なお、園が企画・実施する園内研修が一定の要件を満たしていると都道府県が確認した場合、1分野あたり最大4時間、研修時間が短縮されます。
受講後にはレポートの提出が求められます。ただしガイドラインには、レポートで合否を判定することまでは想定していない、と書かれています。試験ではありません。
「リーダーじゃないと受けられない」と思っていませんか
これは、誤解している方が多いところだと思います。
こども家庭庁のQ&Aには、こうあります。
保育所や地域型保育事業所等において、他の保育士に助言や指導するリーダー的な役割を担うことを希望する方であれば、誰でも受講することができます。
「希望する方であれば、誰でも」です。
いま役職についていなくても、これから担いたいと思っていれば受けられます。
さらにガイドラインには、定員に対象者の申し込みが満たない場合は、対象者以外の方も受講できると書かれています。
給料につながるしくみ
ここが本題です。
令和7年度から、処遇改善等加算のしくみが変わりました。それまでの加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、区分1・区分2・区分3に再編されています。
このうち区分3が、キャリアアップに関わる部分です。
区分3の対象
こども家庭庁のQ&Aでは、区分3の対象は原則として「副主任保育士等」と「職務分野別リーダー等」とされています。
研修を修了した人の数が、計算に使われます
そして、ここが大事なところです。
副主任保育士等については、「基礎職員数×1/3」と研修修了者数の少ない方の数で加算額を計算します。職務分野別リーダー等も、「基礎職員数×1/5」と研修修了者数の少ない方で計算します。
つまり——研修を修了した人が少ないと、園に入る加算のお金も少なくなります。
受けることが、自分にとっても園にとってもプラスになるしくみです。
パートでも対象になります
そしてもうひとつ、大事なことがあります。こども家庭庁のQ&Aには、こう書かれています。
上記に該当する場合には、事務職員、調理員、栄養士やスクールバスの運転手等であっても、また、非常勤職員であっても、賃金の改善の対象とすることを妨げるものではありません。
非常勤、つまりパートでも対象にできます。「正職員でないから関係ない」と思わなくて大丈夫です。
修了証は、全国で有効です
これも知っておくと役に立ちます。
ガイドラインには、修了証について「修了した研修が実施された会場の所在地の都道府県以外の都道府県においても効力を有する」と定められています。
引っ越しても、別の県の園に移っても、そのまま使えます。
氏名が変わったときや、なくしてしまったときは、再交付を受けられます。
ただし、公立は別のしくみです
ひとつ、正確にお伝えしておきます。
処遇改善等加算は、施設型給付(公定価格)のしくみです。主に私立の園で使われています。
公立の保育園で働く場合(会計年度任用職員)は、給与は自治体の条例で決まります。そのため、加算というかたちで反映されるわけではありません。
給与の決まり方については、こちらにまとめています。

研修そのものは、公立で働いていても受けられます。学んだことは、どこに行っても自分のものです。
どうやって申し込む?
ガイドラインでは、都道府県がホームページへの掲載等により周知を行うことと定められています。
まずは、お住まいの都道府県のホームページを見てみてください。「保育士等キャリアアップ研修」で検索すると、募集の案内が見つかると思います。
eラーニングで実施される場合もあります。会場まで行けない方は、そこも確認してみてください。
まとめ
- キャリアアップ研修は、リーダー的な職員を育てるための国の研修です
- 専門分野別研修(6分野)・マネジメント研修・保育実践研修の3種類があります
- 保育実践研修は、ブランクのある方や試験で資格を取った方向けです
- 1分野15時間以上。園内研修で最大4時間短縮されます
- 役職についていなくても、希望すれば誰でも受講できます
- 研修修了者の数が、園の加算額の計算に使われます
- 非常勤(パート)でも、賃金改善の対象にできます
- 修了証は全国で有効です
- 公立で働く場合は、給与のしくみが異なります
「がんばっても変わらない」と思う前に、使える制度があるかどうかを見てみてください。
ブランクからの復帰については保育士はブランクがあっても復帰できる、資格の取り方については保育士資格の取り方もどうぞ。


