保育士のパートで働こうと思ったとき、いちばん最初に気になるのが時給ではないでしょうか。
ただ、「平均は◯円です」という数字をいくつ見ても、自分がいくらになるのかは分からないままです。時給は、いくつかの条件の組み合わせで決まるからです。
決まり方が分かると、求人票を見たときに「この園はなぜこの金額なのか」が読めるようになります。
この記事では、時給がどう決まるのかと、公立と私立でしくみがどう違うのかを整理しました。最後に、求人票で見ておきたい9つのポイントもまとめています。
保育士パートの時給は、4つで決まります

ひとつずつ見ていきます。
①地域
土台になるのが、都道府県ごとの最低賃金です。これは国が毎年見直していて、地域によって金額が違います。
同じ仕事をしていても、住んでいる場所で差が出るのはこのためです。お住まいの地域の金額は、厚生労働省のページで確認できます。
②園の種類
公立か私立か。そして私立の中でも、認可保育園・小規模保育・企業主導型保育など、種類によってしくみが違います。
ここがいちばん大きな差になるところなので、あとで詳しく書きますね。
③これまでの経験
ほかの園での保育士としての勤務歴が、時給に反映されることがあります。
「ブランクがあるから、ゼロからの扱いだろう」と思っている方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。過去に働いた経験は、伝えておいて損はありません。
④資格の有無
保育士資格があるかどうかで、金額は変わります。
「資格手当」という名前で上乗せされる園もあれば、そもそもの時給が違う形になっている園もあります。名前のつき方は園によりますが、資格が金額に影響するという点は共通しています。
公立と私立では、もらえるものの「名前」が違います
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
公立と私立では、同じ「パート」でも給与のしくみそのものが違います。比べてみます。
| 項目 | 公立の保育園 | 私立の保育園 |
|---|---|---|
| 働き方の名称 | 会計年度任用職員 | パート・アルバイトなど |
| 金額の決まり方 | 自治体の条例で決まっている | 園(法人)が決める |
| 処遇改善手当 | ― | あり(園による) |
| ボーナスにあたるもの | 期末手当・勤勉手当 | 園による |
| 交通費・社会保険 | 制度として定められている | 園による(条件を満たせば社会保険に加入) |
公立は「決まっている」のが特徴です
公立の保育園で働く場合、会計年度任用職員という扱いになります。これは全国共通の制度で、金額や手当は自治体の条例で決められています。
そしてこの制度では、パートタイムの会計年度任用職員にも、期末手当・勤勉手当(民間でいうボーナスにあたるもの)が支給の対象とされています。勤勉手当については、令和6年度から支給することとされました。
支給の月数は自治体によって違うので、実際の金額は求人票や募集要項で確認することになります。
私立は「処遇改善手当」があります
一方、私立の園でよく聞くのが処遇改善手当です。
これは国の「処遇改善等加算」というしくみによるもので、施設型給付(公定価格)を受けている園が対象になります。つまり、主に私立の園で使われているしくみです。
園によって、どのくらい手当として配分されるかは変わります。求人票に「処遇改善手当あり」と書かれていても、金額までは書かれていないことが多いので、ここは確認したいところです。
どちらが得、とは言えません
名前が違うだけで、どちらが有利かは一概には言えません。

手当の名前を見比べるより、1年間でいくらになるかで考えるのがおすすめです。
時給だけを比べると、見落としてしまう部分があります。
有給休暇は何日もらえる?
パートでも有給休暇はもらえます。これは法律(労働基準法第39条)で決まっています。
雇われた日から6か月続けて働き、その間の8割以上出勤していれば、10日の有給休暇がもらえます。
ただし、1週間の所定労働時間が30時間より短く、働く日数が少ない人は、日数が勤務日数に応じたものになります。これを比例付与といいます。
週4日勤務の場合は、こうなります。
| 働いた期間 | もらえる日数 |
|---|---|
| 6か月 | 7日 |
| 1年6か月 | 8日 |
| 2年6か月 | 9日 |
| 3年6か月 | 10日 |
| 4年6か月 | 12日 |
| 5年6か月 | 13日 |
| 6年6か月以上 | 15日 |
週3日勤務なら、6か月で5日からのスタートです。
ここで見落としやすいのが、週4日でも、1週間の所定労働時間が30時間以上あれば、比例付与ではなく10日もらえるという点です。1日の勤務時間が長めの週4日勤務なら、こちらにあたることがあります。
なお、公立の保育園(会計年度任用職員)の場合は、自治体の条例で日数が定められています。募集要項に書かれていることが多いので、そこで確認できます。
面接で、時給の話はどうする?
交渉するなら、採用が決まってから
面接の場でいきなり金額の話を切り出すのは、お互いに気まずくなりがちです。
すり合わせをするなら、採用が決まってからのほうがスムーズです。条件の確認という形になるので、話しやすくなります。
経歴は、正確に伝えておく
③でも書いたとおり、ほかの園での勤務歴が考慮されることがあります。
「短い期間だったから」「ずいぶん前のことだから」と省いてしまうと、本来つくはずだったものがつかないままになることがあります。経歴は正確に伝えておきましょう。
書き方に迷ったら、保育士の職務経歴書の書き方とパート保育士の面接で実際に聞かれたことも参考にしてください。
求人票で見ておきたい9つのこと
時給の金額だけを見て決めてしまうと、あとから「思っていたのと違った」となりがちです。あわせて見ておきたいのが、この9つです。
- 時給の幅……「1,100円〜1,300円」のように幅があるとき、何で差がつくのか(経験か、資格か、勤務時間か)
- 昇給があるか、そのスピード……長く働くつもりなら、ここは大きいです。上がり方は職種によってもかなり違います
- 賞与・一時金があるか……名前は園によって違います
- 交通費……上限があることが多いです。通勤距離と合わせて確認を
- 社会保険……加入の条件を満たすかどうか
- 有給休暇……何日から付与されるか
- 運営している法人……一般企業が母体の園は、給与面が手厚いことがあります
- 制服は貸与か、自由か……自分で買いそろえると、その分の出費があります
- 系列園があるか、異動があるか……これは次で詳しく書きます
異動があることは、マイナスではありません
系列園がいくつかあって異動がある園は、「せっかく慣れたのに」と思われるかもしれません。
でも、異動があるということは、人が入れ替わるということです。その分、風通しがよくなります。
もし人間関係で何かあったとしても、「ずっとこのまま」ではない。そう思えることは、長く続けるうえでの安心材料になります。
制服のことは、保育士の服装の記事にもまとめています。
週5日から週4日になっても、もらえる額は同じくらいでした
最後に、ひとつだけ実体験を書かせてください。
私は保育の仕事に戻る前、製造業でフルタイムのパートとして働いていました。1日8時間、週5日。そこから保育園のパートに移って、1日7時間、週4日になりました。
働く時間は、週40時間から28時間へ。3割ほど減っています。
それなのに、賞与まで含めた1年で見ると、受け取る額は同じくらいでした。
理由は2つあります。ひとつは、時給そのものが200円ほど違ったこと。もうひとつは、賞与にあたる手当があったことです。
そして昇給のスピードも、保育のほうが早かったです。
同じ「パート」という言葉でも、ここまで違うことがあります。資格を持っているというのは、ちゃんと金額に表れるものなんだなと、このとき実感しました。
休みが1日増えて、1日の勤務も1時間短くなって、それで年間では同じだけもらえる。この差は、日々の暮らしにそのまま効いてきます。
だからこそ、時給の数字だけで求人を比べないでほしいと思います。賞与や手当まで入れて1年で計算すると、順番が入れ替わることがあります。
もし資格を持ったまま使っていない方がいたら、それはまだ価値のあるものです。
まとめ
- 保育士パートの時給は、地域・園の種類・経験・資格の4つで決まります
- 公立は会計年度任用職員として自治体の条例で決まり、期末手当・勤勉手当が支給の対象です
- 私立には処遇改善手当があります。金額の配分は園によって違います
- どちらが得かは一概に言えません。1年間でいくらになるかで考えるのがおすすめです
- 有給は週4日勤務なら6か月で7日から。週30時間以上なら10日です
- 求人票は、時給以外の9つのポイントもあわせて見てみてください
- 時給と賞与が変われば、働く時間を減らしても、1年で見て同じだけもらえることがあります
時給は、調べれば調べるほど「人によって違う」という答えにたどりつきます。だからこそ、平均の数字を追うより、目の前の求人票を読めるようになるほうが早いです。
この記事が、その手助けになればうれしいです。
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