私の職場にも、通信で勉強して保育士資格を取った方が数人います。みなさん今、現場で働いています。
だから「働きながら資格を取る」というのは、決して無理な道ではありません。
ただ、ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。
「通信講座で保育士になれます」という言葉は、そのままでは正確ではありません。ここを知らずに申し込むと、あとで「思っていたのと違った」ということが起きます。
この記事では、保育士資格の取り方を整理して、通信講座がどこに当てはまるのかをはっきりさせます。
保育士資格の取り方は、2つあります

ルート1:指定保育士養成施設を卒業する
大学・短期大学・専門学校などで、国が指定した課程を卒業する方法です。
卒業すれば、試験を受けずに資格がもらえます。
そして大事なのが、この中には通信制の課程もあるということです。
ルート2:保育士試験に合格する
もうひとつが、保育士試験を受けて合格する方法です。
こちらには受験資格の条件があります。誰でも受けられるわけではありません。
「通信講座」には、2種類あります
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
「保育士の通信講座」と呼ばれているものには、まったく別の2つがあります。
| 何をするもの | 資格はどうなる | |
|---|---|---|
| ①通信制の養成施設 | 大学・短大などの通信教育課程で学ぶ | 卒業すれば試験なしで資格 |
| ②試験の対策講座 | 保育士試験に向けて勉強する | 試験に合格しないと資格は取れません |
②は、受けただけでは資格になりません。あくまで試験に向けた勉強の手段です。
「通信講座で保育士資格が取れます」という書き方をしている説明をよく見かけますが、それが①なのか②なのかで、必要な時間もお金もまったく違います。

申し込む前に、どちらなのかを必ず確かめてください。
保育士試験のしくみ
②の道を考えている方のために、試験のしくみを整理します。
年に2回あります
保育士試験は、前期と後期の年2回実施されています。
筆記は8科目
- 保育原理
- 教育原理及び社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
実技は2分野を選びます
筆記に合格すると、実技試験に進みます。幼稚園教諭免許をお持ちでない方は、2分野を選択します。
合格した科目は、3年間有効です
ここが、いちばん知っておいてほしいところです。
保育士試験には科目合格という制度があります。合格した筆記科目は、合格した年を含めて3年間、免除されます。
つまり、一度に8科目すべてに受からなくてもいいということです。
働きながら、子育てをしながらでも、何回かに分けて少しずつ進められます。これを知っているかどうかで、気持ちがまったく変わってくると思います。
なお、一定の勤務経験がある方には、免除期間を延長できる制度もあります。詳しくは試験を実施している全国保育士養成協議会のページで確認してください。
受験資格には条件があります
保育士試験を受けるには、学歴や実務経験の条件を満たす必要があります。主なものを挙げます。
| こんな方 | 条件 |
|---|---|
| 大学・短大・高等専門学校を卒業した方 | 学部・学科は問われません |
| 大学に在学中の方 | 2年以上在学して62単位以上を修得 |
| 専門学校を卒業した方 | 専門課程(修業年限2年以上)の卒業 |
| 高校を卒業した方 | 児童福祉施設で2年以上、かつ総勤務時間数2,880時間以上 |
| 中学を卒業した方 | 児童福祉施設で5年以上、かつ総勤務時間数7,200時間以上 |
このほか、平成3年3月31日までに高校を卒業した方などについては、経過措置があります。
条件はこまかく決まっています。自分が当てはまるかどうかは、必ず公式のページで確認してください。
保育補助で働きながら、というのは現実的です
高校卒業の方の条件を見て、気づかれたかもしれません。
児童福祉施設で2年以上働くと、受験資格が得られます。
保育補助として働きながら経験を積み、その間に受験資格を満たして試験に挑む——という進み方ができます。
保育補助については、こちらにまとめています。
幼稚園教諭免許をお持ちの方は、特例があります
幼稚園教諭免許を持っていて、幼稚園などで3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある方には、試験科目が大幅に免除される特例があります。
こちらは令和11年度末まで延長されています。くわしくは保育補助と保育士の違いに書きました。
どう選べばいいか
正解はひとつではありませんが、考え方の目安はあります。
- 時間とお金をかけられるなら、ルート1(養成施設)。試験がないぶん確実です。通信制の課程なら、働きながらでも続けられます
- 働きながら、費用を抑えたいなら、ルート2(試験)。科目合格を使って、何年かかけて進められます
- どちらにしても、「申し込めば資格が取れる」ものではありません。学ぶ時間は必要です
私の職場にも、通信で学んで資格を取った方が数人います。そして今、保育士として働いています。
時間はかかっても、道はちゃんとあります。
まとめ
- 保育士資格の取り方は、①養成施設を卒業する ②保育士試験に合格するの2つです
- 「通信講座」には2種類あります。養成施設の通信課程(卒業で資格)と、試験の対策講座(合格が必要)です
- 保育士試験は年2回。筆記8科目と実技2分野です
- 合格した科目は3年間有効。一度に全部受からなくて大丈夫です
- 受験資格に条件があります。高校卒業の方は児童福祉施設で2年以上・2,880時間以上で受けられます
- 保育補助で働きながら受験資格を満たすという進み方もできます
- 幼稚園教諭免許をお持ちの方には特例があります
無資格から始められる研修については、こちらもどうぞ。



